それは、球場の周りは何もなく、
緑がいっぱいだったりするからだろうか。
特に晴れた日なんかは、
自分の頭上に広がる青空は、
自分のために光が降り注いでいるかのように、
すがすがしくさえ感じることがある。
今回訪れた甲府の球場は、
青空で私と妻を迎え入れてくれた。
一応、新婚旅行ということで甲府に来て、
しかも私のわがままで球場に付き添わせて、
それでも「晴れ」というプレゼントを与えてくれたわけだ。
これだけでも感謝の気持ちで一杯である。
しかし、球場に向かう際に妻が見つけた
道端へ移動させようとしたものの、
鋭いカマを振りかざし必死の抵抗をしたカマキリ。
球場行脚を終えて、最寄り駅へと歩いて帰る道中。
私たちは道のど真ん中に緑色の何かを発見した。
あのときの勢いはどこへ行ってしまったのか。
「だからあの時、妻の好意を素直に受け入れていたら…」
そう感じずにはいられないほど、
変わり果てた姿になっていた。
手を合わせて通り過ぎる…それくらいしか出来なかった。
これで甲府の球場行脚は終わったわけだが、
その後、私はJR身延線でさらに南へと進み、
下部温泉という小さな温泉街に降り立った。
到着した頃には周囲は真っ暗であったが、
駅からすぐ近くの旅館へと歩いて向かった。
途中、街頭もない闇夜の道を進んだ。
途中には小川にかかる橋もあり、何となく薄気味悪かった。
しかし、その先にある旅館を見て心が和み、
そして広々とした温泉に浸かり、
山の幸、渓流の幸を味わいながらビールやワインを飲み、
薄気味悪い気持ちはどこへやら、ほんのひと時の幸せな時間を過ごした。
こうして、山梨の夜は更けていったわけで。
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