とりあえずホテルにチェックインし、部屋に荷物を置いて、
ポケットに財布、右手にデジカメを持って、辺りをうろついてみることにした。
到着したのはもう16時を回っていたので、
函館山の方へと歩いてみることにした。
やっぱり、函館山には登っておかないとな…。
12年前に函館に来たときも思ったのだが、
函館市内を歩いていると、どこからともなくCMが聞こえてくる。
今はどうなのかは知らないが、
12年前も、そしてこのときもそうだったのだ。
歩道に並ぶ電信柱にはところどころスピーカーが付いていて、
そこから何かしらの声が聞こえる。
最初はラジオなのかと思ったが、実際はCMだった。
何の店だかさっぱり分からないが、
「エトー!」という声だけが響くCMがやたらと耳に付いた。
函館駅から電車通り沿いに歩き、
十字街の電停近くにたどり着く。
そのあたりに、日本一古い電信柱があるらしいということで、
ちょっと興味があって行ってみた。

1923年に今の北海道電力が建てたものらしい。
今の電信柱と明らかに違うのは四角いことだけだ。
「ふ〜ん…」といった感じで、
四角のすべての面をチェックして、
今度は赤レンガ倉庫群へと歩いてみた。
そんなに距離はない。
目と鼻の先である。

正式名称は「金森赤レンガ倉庫」というらしい。
スイーツの名店もあるらしいが、
あまりお腹が空いていなかった上に、
夜は函館ラーメンが食べたいと思っていたから、
ひとまず食べたい気持ちをぐっと飲み込んで、次へ向かうことにした。
赤レンガ倉庫から電車通りを渡ってすぐのところに、
「大三坂」という坂がある。

ドラマでもよく使われる坂だそうだ。
函館山は陸繋島(りくけいとう)であるために、
函館山方向への坂がたくさんあり、それぞれに名前がついている。
そして、そのどれもが風情があったりするので、
ドラマでもよく使われるそうだ。

ただの坂なのに、何か味がある。
それが函館のもう一つの楽しみなのかもしれない。
★追記★
この旅行の12年前にこの函館の街に来たときは、
私は当時17歳だった。
そのときはお金もあまり持っていない旅行だったので、
まるで普通の民家のような旅館に泊まった。
何という名前の旅館かも覚えていない。
ただ、十字街の電停から函館どつく電停方面への道中にあった。
なんとなくその場所だけは覚えている。
その旅館は本当に民家みたいな感じで、
確か小さなお風呂があったような気がする。
部屋は6畳一間で部屋を出たところに共同のトイレがある。
晩御飯も家庭的な料理であり、
天ぷらはしなっとした感じであったが、
名物のイカソーメンはすごく美味しかったことを覚えている。
貧乏な旅行の中で、刺身を食べるのはすごく贅沢なことだったのだ。
ただ、その夜は何もすることがなく、
テレビも1時間100円だかの有料だったので、
そそくさと寝てしまった記憶がある。
今もその旅館はあるのかなあ。
インターネットで検索してみたけど、ヒットしない…。