私は生まれて初めて北陸へと足を運んだ。
私はそれまで北陸に行ったことがなかった。
東京で暮らし、大阪に引っ越してきたことで
北陸はより近い存在になったにもかかわらず、
なかなか北陸へ足を運ぶことはなかったのだ。
まあ、東京で暮らしていた頃、
ディズニーランドや東京タワーなどの名所には、
意外なことに一度もいかなかった。
いつでも行けるという気持ちの余裕もあるが、
近くにいると、珍しさもなくなってしまうのかもしれない。
当たり前にあるような存在になってしまうのだろう。
この福井県営野球場への球場行脚では、
何も福井だけが目当てではなく、
その後、金沢、富山へと移動していく予定だった。
なんせ北陸に一度も行ったことがなかったから、
一気に3つの県を制覇することが出来るわけだ。
そしてまず降り立ったのが福井駅。

当時は改装中だったようだ。
将来、ここには新幹線が通るようだ。
それもあってか、すごくきれいな駅になっていた。
でも、福井駅を一歩出ると、
「ここは本当に県庁所在地なのだろうか」という雰囲気があった。
何となく寂れてしまったような雰囲気…。
駅のきれいさとはギャップが激しかった。
それが初めて福井駅に降り立った第一印象だった。
それから2年後にもう一度福井を訪れる機会があったのだが、
その風景はほとんど変わることなく、
ただ、福井駅自体が少しきれいになっていたことだけが印象に残っている。
そんなわけで、福井駅からちょっと歩いたところにあるバス停から、
福井県営野球場に向けて歩を進めることにした。
バスに乗ると、路面電車が走っているのが見えた。
そして川を渡ると、一気に街中の雰囲気が消え、
住宅地のような雰囲気に変わっていった。
そんな雰囲気の中、バスはどんどん進んでいく。
「ベル前」というバス停に止まり、
「何のベルだろう」と思っていたら、
「ベル」というショッピングセンターが目の前にあった。
という感じで、福井県営野球場の最寄のバス停に着いた。
そして、いよいよ福井県営野球場へと向かうわけで。
…でも、体は球場へ向かっているが、
頭の中はソースカツ丼のことでいっぱいであった。