乗客は私だけという中で、
バスの運転手は「久米島野球場」の前で降ろしてくれた。
そこはバス停などない場所であった。
当時、久米島野球場はまだ建設中だった。
東北楽天のメインキャンプ地であった仲里野球場では、
施設が万全ではないこともあり、
新しい球場を造ることになったのである。

当時、建設中だった球場がこの写真だ。
それからしばらくして、この球場は完成し、
楽天vs千葉ロッテの練習試合が行われるほどになった。
さて、私はというと、この久米島野球場をひとしきり観察した後、
那覇へ戻る船の出港時間まで、まだ時間があったし、
久米島入りした日は雨であまり歩き回っていなかったので、
港まで歩いてみることにした。
小さな島ではあるが、特に何かあるわけではない。
だだっ広い空間が広がっていて、海風も気持ちが良い。
小さな小学校があったが、
どこにでもあるような習字や絵が飾ってあって、
どこかほほえましい光景でもあった。
そして、旧具志川村の中心部へと差し掛かってきたので、
せっかくだからと写真を撮った。

小さな旅館が1つ。
そして、大手電気屋の出張所みたいなのが1つ。
特に何かあるわけでもないが、
その後、その旅館がある芸能人の親戚の家だったことがわかって驚いた。
ちょっと路地に入ってみる。
久米島の住宅街ではあったが、あまりに沖縄っぽい風景に思わず写真に収めた。

私自身、沖縄に来たのはこれが初めてだった。
何かと文化の違いを感じながら、それがすごく楽しくもあった。
そして私が住んでいる大阪ではまず見かけないような雰囲気の家。
これが当たり前のように点在している。
それがまた新鮮でもあった。
やっぱり沖縄だ…那覇にいてはあまり感じなかったものが、
この久米島ではそれをひしひしと感じたのだ。
でも、この島ではごく普通のことなんだよね。
文化の違いをみるのも、旅の醍醐味でもある。
久米島での散歩…
非常に有意義な時間でもあった。
島の生活にちょっと触れることもできた。
私自身、あまり離島に旅行に行くことがなかったし、
友人の結婚式を目的に沖縄に来ていたこともあって、
久米島に来たは良いものの、天候不良で那覇に帰れなかったらどうしよう…
と、そんな不安もあったんだよね。
でも、実際に来てみて、本当に良かった。
沖縄の地元の子供たちと話す機会もあったし、
地元の生活を少しだけでも知ることが出来た。
最後に久米島の港で泡盛を買った。
この泡盛、翌日に挙式を控える友人の結婚式で、
それに参列する高校時代の友人と一緒に飲もうと思って買ったものだ。

手土産を片手に、私は久米島を後にした。
久米島は良い所…でも、距離が遠すぎるし、なかなか簡単には行けないところ。
これが最初で最後になるかもしれない。
そう思いながら、船は出港し、遠ざかる久米島の風景を眺めながら、
そんなことを考えたりしていた。
そして船旅4時間後、前日に出発した那覇泊港に到着した。
私はその日、那覇市内のホテルに泊まり、
明日に控える友人の結婚式のため、
翌日、まずは沖縄本島の中部にある名護市へと向かうのである。
名護市でのこと、そして友人の結婚式があった恩納村のこと…
それについては、また後日ということで。